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経理

賃貸管理会社の入出金管理と書類作成を効率化する。家賃入金消込の自動化まで

管理戸数が増えるほど、賃貸管理会社の事務は2つの作業に飲み込まれていきます。毎月の家賃の入金確認と、契約・更新のたびに発生する書類作成です。物件情報はあのソフト、契約情報はこのExcel、入金は銀行サイト、と情報が散らばっているほど、1件ごとの確認と転記に時間がかかります。管理戸数600戸の仮置きで数えると、家賃の消込だけで月14時間になります。そのうち自動化で消える分と人に残る分を分け、業界SaaSで足りる範囲と個別開発で埋める範囲を書きます。

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大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

情報が散らばっているせいで、ひとつの確認に何画面も開いている

入居者から「振り込みました」と連絡が来たとき、何画面開いて確認しているかを数えてみてください。銀行サイトで入金を見て、管理ソフトで契約者と金額を照合し、Excelの台帳に記録する。1件なら数分でも、管理戸数分の毎月の積み重ねは大きな数字になります。

書類作成も同じ構図です。契約書・更新通知・送金明細書に載る情報の大半は既にどこかのシステムに入っているのに、作成のたびに探して転記しています。転記である以上、ミスも起きます。

古いインストール型ソフトを使っている場合は「そのPCでしか作業できない」という制約も重なり、担当者の席が実質的な業務のボトルネックになります。

この状態は、入退去が集中する時期に一気に表面化します。通常月は残業でしのげていた確認と転記が、繁忙期には物理的に回らなくなり、書類の発行遅れや消込の持ち越しとして表に出ます。繁忙期に破綻する業務は、通常月から仕組みで減らしておくしかありません。

管理戸数600戸なら、家賃の消込だけで月14時間

管理戸数600戸の会社を例に取ります。毎月の入金は家賃・共益費・駐車場を合わせておよそ600件。銀行明細と請求の照合のうち、名義と金額がすぐ合うものが9割・540件あり、1件平均1分かかるとすると、540件×1分=540分、9時間です。

残りの1割・60件は、振込名義が契約者と違う、家族名義、複数月のまとめ払い、金額の過不足といった例外で、1件5分の調査が要るとすると60件×5分=300分、5時間。合わせて9時間+5時間=月14時間が、入金の照合だけに使われている計算です。

消込を自動化し、一致する540件は機械が消して、人は例外の60件だけを見る形に変えると、人の作業は月5時間。差し引きで月9時間、年間では9時間×12か月=108時間、時給2,500円換算で108時間×2,500円=27万円分に相当します。

管理戸数が増えても、自動化後の人の時間は例外の件数にしか比例しません。件数の伸びを人の残業で受け止める構造から抜けられることが、時間の差分そのものより効きます。

自社でやるなら: 物件・契約・書類は業界SaaSで足りる

物件・契約・入居者情報の一元管理と、そこからの書類作成は、賃貸管理システム(業界特化SaaS)の得意分野です。契約書や更新通知の様式、募集サイトとの連携は業界特化の作り込みが厚く、ここを個別開発するのは費用に合いません。

一元化が進むと、探す・転記する・突き合わせるという細かい摩擦が業務の全体から抜けていきます。1つの作業が消えるというより、あらゆる確認が1画面で済むようになる変化です。

導入のつまずきはデータ移行に集中します。旧ソフトとExcelに散らばった契約情報を新システムに入れ直す作業は、想像より重く、ここで止まる会社が多い。移行は「全物件一括」を狙わず、更新や新規契約が発生した物件から順に新システムへ載せる方式も検討してください。

選定時は、書類の様式を自社仕様にどこまで寄せられるかと、データをCSVで取り出せるかを確認しておくと、あとの節の話に繋がります。

それでも残る家賃の入金消込を、例外だけ見る形にする

賃貸管理システムに情報が揃っても、毎月の実務で残り続ける作業があります。銀行の入金明細と請求(家賃・共益費・駐車場)の突合、いわゆる入金消込です。振込名義が契約者と違う、家族名義、複数月まとめ払い、金額の過不足。この判断が人に残ります。

当方は決済システムの運用現場で、入金の照合を含む定型業務の自動化に携わってきました。入金消込は、名義の揺れの正規化、金額と期日からの候補照合、確信度の低いものだけを人の判断に回す、という作りに落とせます。全件を人が見る状態から、例外だけを見る状態への変化です。

もう1つ残るのが会計への接続です。管理会社自身の会計(管理手数料の売上、オーナーへの送金)を会計ソフトに入れ直しているなら、そこも自動化の対象です。賃貸管理システムから出るデータを会計ソフトの取込形式へ変換する部分は、個別開発で埋められます。

オーナーへの送金明細も同じ流れに載せられます。入金の消込結果から、物件ごとの回収額・管理手数料・送金額を集計して明細を作る。消込が自動で回っていれば、この明細は消込結果の別の見せ方にすぎず、追加の入力なしで作れるようになります。

一元化が先、消込の自動化はその次

順序は、①業界SaaSへの一元化(書類作成と情報の散在が解消)、②入金消込の自動化、③会計ソフトへの接続、です。②を先にやりたくなる会社も多いのですが、請求データが一元化されていないと消込の突合相手が定まらないため、①が先です。

費用の考え方は2段に分かれます。①はSaaS利用料と移行の手間で、開発費は基本的にかかりません。②③は個別開発の範囲で、当方の費用帯では、明細取得と突合の自動化が30万円台から。名義の揺れや例外パターンが多いほど上がりますが、最初は「完全一致だけ自動、残りは人」で小さく始めて、例外対応を月を追って足していく作りが堅実です。

回収の計算では、想定例の月9時間・年間27万円相当に加えて、滞納の発見が早くなる効果を入れてください。消込が自動で毎日回ると、滞納は発生の翌日に分かります。月末にまとめて気づく運用との差は、督促の成功率に直結します。

いまの消込作業を1回だけ計測してみてください。全件のうち「見た瞬間に照合できた件数」と「調べないと分からなかった件数」を分けて数える。前者の割合が、そのまま自動化できる部分の割合です。後者の割合が、開発の費用と難易度を決めます。

ご相談ください

いまの手順と、その作業にかかっている時間を伺えれば、自動化できるかどうかと、おおよその金額をその場でお伝えします。 資料を整えていただく必要はありません。

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この記事を書いた人

大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

経理・労務のバックオフィス業務を自動化するエンジニア。決済システムの運用現場で16名チームの定型業務を自動化。その後、勤怠・給与計算SaaSと記帳・確定申告支援SaaSを要件定義から運用まで担当。

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