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経理

工務店の発注書作成と請求書の突合を自動化する。口頭発注をやめる手順と経理への接続

協力会社への発注が電話や現場での口頭で済まされ、あとから届く請求書と突き合わせて初めて金額の食い違いに気づく。月末は現場監督が事務所に戻って発注書と請求書の山を精査し、経理は「この請求、発注はどうなっていますか」と現場に確認して回る。注文住宅やリフォームを手掛ける工務店で、この状態は珍しくありません。口頭発注のツケが月に何時間になっているかを協力会社40社の仮置きで計算したうえで、施工管理SaaSで足りる範囲と、その先に残る経理側の接続の自動化を書きます。

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大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

口頭発注のツケは、月末の請求書精査に全部回ってくる

発注の記録が残っていないと、請求書が届いた時点で照合する相手がありません。金額が合っているかは現場監督の記憶頼みになり、確認の往復が発生します。

記録がないことの実害は2つです。1つは発注額と請求額の相違によるトラブル。もう1つは二重請求を見抜けないことです。悪意がなくても、追加工事分を別紙で請求されると重複に気づけません。

さらに、発注が記録されていない工事は、完工するまで原価が確定しません。粗利がいくらになるかは請求書が出揃ってからのお楽しみ、という状態です。

協力会社40社・月80件の発注を数字にする

協力会社が40社あり、常時10棟前後の現場が動いている工務店。月の発注は約80件です。発注書を起こして送るのに1件10分かかるとすると月800分、約13時間です。口頭発注はこの13時間を省略しているように見えますが、実際はツケを月末に回しています。

月末に届く請求書も約80枚。発注記録があれば照合は1枚2分で済みますが、記録のない半分の40枚は、現場監督への確認の往復で1枚12分かかるとします。40枚×2分と40枚×12分で計560分、約9時間。発注と精査を合わせて月22時間が、現場監督と経理の月末に集中します。

受発注をシステムに載せると、こう変わります。発注書は過去の類似発注の複製と単価の呼び出しで1件3分、月4時間。請求は発注に紐付いた形で届くため、照合は差分の確認だけになり月2時間ほど。合わせて月22時間が6時間になる計算です。精査の時間が減るというより、精査という仕事の中身が「記憶を探す」から「差分を確認する」に変わります。

もう1つの帰結は、発注の記録が揃うことで完工を待たずに原価が見えることです。粗利のブレは、請求書が出揃ってから発覚するものから、着工中に手を打てる問題に変わります。

自社でやるなら: 業界SaaSで足りるのは発注から検収まで

発注・受注・検収の範囲は、建設業向けの施工管理SaaS(受発注機能を持つもの)を入れるのが早道です。協力会社とのやり取りの型、工事台帳との紐付け、原価の集計は、建設業向けに作り込まれた既製品の得意分野で、ここを個別開発するのは費用に合いません。

導入時に決めるべきことの中心は、システムの操作より運用の切り替えです。口頭発注を禁止し、発注書が出ていない工事は請求を受け付けない、というルールを協力会社と合意できるか。前の節の計算は、この合意があって初めて成り立ちます。

つまずきやすいのは協力会社側の負担です。一人親方や小規模な協力会社にとって、元請ごとに違うシステムへの登録は手間です。移行期間は紙とシステムが並走することを前提に、主要な協力会社から順に切り替えていく計画にしてください。

検収から支払・会計までを一本道にする

受発注の仕組みが動き始めると、発注・検収・原価のデータはシステムに揃います。ところが多くの工務店で、その先が手作業のまま残ります。検収が確定した支払データを会計ソフトに仕訳として入れ直し、振込データを別途作り、工事台帳の原価と会計の数字を月次で突き合わせる作業です。

ここが当方の見ているポイントです。業界SaaSは現場と協力会社の間を繋ぎますが、会計ソフトや銀行との間は、CSVの出力までで止まっていることが多い。その出力を、会計ソフトの取込形式への変換、工事別の補助科目や部門への振り分け、総合振込データの生成まで自動で流す部分が、個別開発で埋める隙間です。

流れを具体的に書くと、月末に受発注の仕組みから検収済みデータを取り出し、協力会社ごとに支払額を集計し、会計ソフトには工事別の原価仕訳として、銀行にはネットバンキングで読める振込ファイルとして渡す、という一本道です。いま経理がこの各段階でExcelを挟んでいるなら、そのExcelの数だけ自動化の余地があります。

施工管理SaaSの選定自体は建設業に強い会社に任せるべきですが、「入れたあとに経理が二重入力になっている」状態の解消は業界を問わず同じ作りで、当方がfreee・マネーフォワードとの連携開発で普段やっている仕事そのものです。

発注のルールが先、接続の開発はその次

順序は、①発注の記録を残す運用への切り替え(業界SaaSの導入)、②検収データと会計・振込の接続、③原価と会計の月次照合の自動化、です。①を飛ばして②を作っても、元のデータが口頭のままでは自動化する対象がありません。

費用の考え方は2段に分かれます。①は業界SaaSの利用料で、開発費は基本的にかかりません。②③の接続部分は、当方の費用帯でいうと「ひとつの作業を自動化する」10万円〜50万円の範囲で、変換1本なら30万円台から組めます。

②を作るときは、最初の1〜2か月を並走期間にしてください。自動で作った仕訳・振込データと、いままでどおり手で作ったものを突き合わせ、一致してから手作業をやめる。支払は間違えたときの影響が大きい業務なので、この確認の期間を惜しまないことが結果的に近道です。

回収の見方として、経理側の入力時間だけで測らないでください。この領域の効果は、請求トラブルの解消と粗利の安定にも出ます。着工前に見込んだ粗利と完工時の粗利のブレが数%あるなら、そのブレの金額は入力の人件費より一桁大きいはずです。

検討の入口として、直近3か月の請求書のうち「対応する発注書が紙でもデータでも存在しない」ものが何割あるかを数えてみてください。それがそのまま、突合できていない支払の割合です。3割を超えているなら、システムより先に発注のルールから手を付ける段階です。

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いまの手順と、その作業にかかっている時間を伺えれば、自動化できるかどうかと、おおよその金額をその場でお伝えします。 資料を整えていただく必要はありません。

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この記事を書いた人

大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

経理・労務のバックオフィス業務を自動化するエンジニア。決済システムの運用現場で16名チームの定型業務を自動化。その後、勤怠・給与計算SaaSと記帳・確定申告支援SaaSを要件定義から運用まで担当。

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