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経理

運送会社の現場帳票を電子化して請求処理を早くする。作り方と会計への接続

ドライバーや作業員が現場から持ち帰る紙の報告書。それが事務所に届いて、内容を確認して、システムに入力し直して、ようやく請求書が作れる。運送会社の請求処理が遅れる原因をたどると、請求業務そのものより、その手前にある紙の帳票に行き着くことがよくあります。ドライバー20名・1日40枚という仮置きで紙のコストを計算したうえで、帳票アプリとAI-OCRの使い分け、電子化のあとに残る請求・会計への接続までを書きます。

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大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

請求が遅い会社の多くは、請求業務より帳票の回収で詰まっている

紙の帳票には、物理的に移動しないと処理が始まらないという性質があります。ドライバーが戻るまで待ち、戻ってから回収し、字が読めなければ本人に聞く。請求の締めは、この回収の遅さに引きずられます。

事務側の作業も、入力だけでは終わりません。帳票の印刷と配布、回収後のスキャンや保管、破棄。帳票が紙である限り、この周辺作業が毎日ついて回ります。

月末に請求をまとめて作る運用だと、回収漏れが1枚あるだけで得意先1社分の請求が止まります。請求が遅れれば入金も遅れ、資金繰りにまで響きます。

ドライバー20名・1日40枚の帳票を数字にする

ドライバー20名、1日に紙の作業報告書や日報が計40枚戻ってくる運送会社があるとします。事務側の入力が1枚3分なら1日120分、2時間。月20営業日で40時間です。事務員1人の月の労働時間のおよそ4分の1が、書き写しに使われている計算になります。

時間よりも痛いのが回収待ちです。長距離運行やドライバーの休みで帳票が翌日以降に戻る分があると、月末締めの請求発行がそのぶんずれ込みます。仮に毎月3営業日遅れているなら、入金もそのまま3営業日遅れます。

現場からスマホで送信する形に変えると、事務側は届いたデータの確認だけになります。1枚30秒として1日20分、月に7時間弱。月30時間以上が浮き、締め日の夜にはその月の全帳票がデータで揃っている状態になります。

印刷・配布・スキャン・保管という紙の周辺作業も、帳票が紙をやめた時点で一緒に消えます。

自社でやるなら: 現場が入力できるなら帳票アプリ、できないならAI-OCR

現場からスマホやタブレットで報告できるなら、帳票アプリ化が本命です。kintoneやノーコードツールで、いまの紙帳票と同じ項目の入力フォームを作る。開発というより設定に近い作業です。選択肢や数値の入力を中心にして、自由記述を減らすほど、あとの集計が楽になります。

高齢のドライバーが多い、協力会社のドライバーには依頼できない、といった理由で紙が残る場合は、AI-OCRで読み取る方式にします。当方はAI-OCRを使った記帳SaaSの開発に携わっており、この方式の勘所は「読み取り精度を100%と見なさない」ことです。読み取り結果を人が画面で確認・修正する工程を最初から設計に入れます。手書きの帳票なら、確認込みでも転記より速くなります。

どちらの方式でも、帳票の様式そのものを電子化に合わせて見直すのが先です。使われていない欄を消し、選択式にできる欄を選択式にする。紙の様式のまま電子化すると、紙の不便さごと引き継ぎます。

現場に定着させる工夫は、入力の手数を紙より減らすことに尽きます。日付や車両番号のように毎回同じ項目は自動で入る初期値にし、入力は現場を離れる前のその場で終わる分量に抑える。「事務所に戻ってからまとめて入力」になった時点で、紙の持ち帰りと同じ遅さに戻ります。

データになった帳票を、請求書と売上計上まで流す

帳票がデータになった時点で、回収待ちは消えます。ただし、そのデータから請求書を作り、会計ソフトに売上を計上する部分が手作業のままだと、効果は半分です。ここが業界ツールを入れただけでは埋まらない隙間で、当方が個別開発の対象として見ている部分です。

具体的には、帳票データを得意先ごとの請求明細に集計する処理です。運送の請求は、得意先ごとに単価表が違い、距離・件数・時間のどれで課金するかも契約ごとに違います。この単価表をプログラムに埋め込まず、事務員が編集できる設定表に持たせて、帳票データ×単価表から請求明細を自動生成する。ここまで作ると、締め日の請求業務は「確認して発行する」だけになります。

その先の会計への接続も同じ構図です。請求データをfreeeやマネーフォワードに売上として登録し、入金があれば請求と突き合わせる。この請求から入金確認までの流れは、業種を問わず同じ作りで組めます。

請求を待たせている帳票から電子化する

順序は、①帳票の様式を見直す、②入力方式を決めて帳票を電子化する(アプリかAI-OCR)、③帳票データから請求明細への集計を自動化する、④会計・入金確認へ繋ぐ、です。③から作りたくなりますが、元が紙のままでは自動化できません。

着手の前に、社内で使っている現場帳票を全種類並べて、種類ごとに月の枚数と「その帳票が何の業務を待たせているか」を書き出してください。全部を電子化する必要はありません。請求を待たせている帳票が最優先で、社内の記録にしか使っていない帳票は後回しで構いません。

費用の目安は、②の帳票アプリ化はノーコードの範囲ならツール利用料が中心で、構築を依頼しても小規模から始められます。③の請求明細の自動生成は、単価表の複雑さ次第で、当方の費用帯では30万円台からです。得意先ごとの例外が多いほど上がります。

回収の計算では、事務の時間だけで見ないでください。この領域の効果は、請求が早く出ることにも表れます。想定例のように請求の発行が3営業日早まるなら、その分だけ毎月の入金も前倒しになります。

最初の一歩は、いま現場から戻ってくる紙の帳票を1種類選んで、「この帳票が夕方までにデータで届いたら、何がどれだけ早くなるか」を書き出すことです。請求の締めが早くなる帳票から電子化すると、効果が金額で見えます。

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いまの手順と、その作業にかかっている時間を伺えれば、自動化できるかどうかと、おおよその金額をその場でお伝えします。 資料を整えていただく必要はありません。

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この記事を書いた人

大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

経理・労務のバックオフィス業務を自動化するエンジニア。決済システムの運用現場で16名チームの定型業務を自動化。その後、勤怠・給与計算SaaSと記帳・確定申告支援SaaSを要件定義から運用まで担当。

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