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経理

口座振替の登録とWチェックを自動化する。RPAより先にファイル連携を確かめる

家賃、管理費、会費、保守料。毎月決まった相手から口座振替で集金している会社では、振替依頼の登録と結果データの取り込みが毎月の定例作業になります。件数が多いほど入力ミスが怖く、Wチェックに人を足す。月500件の想定で計算すると、消えるのは登録とWチェック、残るのは振替不能の後始末だと分かります。画面操作の自動化に飛びつく前に確認してほしいファイルの経路を中心に、作り方と費用を書きます。

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大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

振替日のたびに、登録とWチェックに人が張り付く

販売管理や賃貸管理のシステムから今月の請求を出し、銀行や収納代行のシステムに振替データを登録する。振替日のあとは結果を取り込み、振替できなかった先を確認する。毎月同じ手順の繰り返しです。

この業務が重いのは、間違いが許されないからです。金額を1桁間違えれば顧客の口座から誤った額が引き落とされます。だから登録のあとに必ず目視のWチェックが入り、作業時間が倍になります。手順が完全に決まっていて、かつ間違えられない。人にやらせるには最も向かない種類の仕事です。しかも振替日と締め日に作業日が固定されるため、担当者は休みも取りにくくなります。

月500件の口座振替がある会社の計算

月500件の振替依頼を銀行や収納代行のシステムに登録するのに、1件30秒かかるとします。500件 × 30秒 = 250分で、月4時間強。間違えられない業務なので別の担当が全件をWチェックし、同じく1件30秒なら、さらに250分。振替日のあとには振替できなかった先が月20件ほど出て、理由の確認と再請求の段取りに1件10分なら 20件 × 10分 = 200分。合計で月12時間近くになります。

販売管理の請求データから依頼ファイル(全銀フォーマットなど)を機械で生成してアップロードする形にすると、登録の250分は消えます。生成のときに口座情報の欠けや金額ゼロの行を機械で弾く検査を入れれば、人が目で見ていた項目がそこへ置き換わり、Wチェックの250分も一緒に消えます。

振替不能の20件は自動化後も残ります。ただ、結果ファイルを取り込んで理由別(残高不足、口座相違など)の一覧に振り分ければ、判断は1件5分で 20件 × 5分 = 100分。月12時間近くが1時間40分になり、残るのは例外の判断という、人にしかできない部分だけです。

御社の数字で置き直すのは、月の件数、登録とチェックの1件あたり時間、振替不能の件数の3つです。

作る側の視点。画面操作の自動化より先に、ファイルで渡せないかを確認する

RPA、つまり人が画面を操作する手順をそのまま機械にやらせる方法を最初に思い浮かべる方が多いのですが、自社で作るなら最初に検討すべきはRPAではなく、ファイルやAPIでデータを渡せないかの確認です。

口座振替は歴史の長い業務なので、全銀協フォーマットの依頼ファイルを銀行や収納代行にアップロードし、結果もファイルで受け取る経路がたいてい用意されています。ファイル連携は画面のデザイン変更の影響を受けないため、画面操作の自動化より壊れにくく、保守も安く済みます。全銀協フォーマットは各行共通の形式なので、一度変換を作れば取引銀行が増えても使い回しが利きます。

ファイル連携ができる場合、個別開発の対象は3つです。第一に、請求データから依頼ファイルを作る変換(データのチェック込み)。第二に、振替結果ファイルを取り込んで消込や会計に反映する処理。第三に、振替できなかった先を理由別に振り分け、再請求や連絡の一覧を作る処理。3つ目が見落とされがちですが、実務で毎月時間を使うのはここで、後始末が手作業のままだと効果が半分になります。

画面操作でしか受け付けない銀行・サービスが残った場合に、はじめてブラウザ操作の自動化を使います。当方はブラウザ自動化での業務自動化を実績として持っていますが、それでも順序としては最後の手段に置きます。

金融まわりの自動化で必須なのは「止まった月に人が代われること」です。画面操作の自動化は画面の変更で止まり、ネットバンキングはセキュリティ改修が多く、二段階認証が絡むと無人実行が難しい場合もあります。手順書を残し、自動化の前と同じ操作を人ができる状態を保つ。振替日は動かせないので、復旧を待つ設計は成り立ちません。

実行結果を毎回人に通知する仕組みも必須です。正常に終わったのか、途中で止まったのかが分からない自動化は、金融まわりでは使えません。作った人しか直せない状態も避け、引き渡しの時点で、どこを直せば何が変わるかを確認してください。

始め方と費用

順序は次のとおりです。(1) 毎月の登録・取込・チェックにかかっている時間を数える。(2) 銀行・収納代行に「振替依頼をファイルで出せるか、結果をファイルで受け取れるか」を確認する。(3) ファイルで渡せる範囲は変換の開発で自動化し、画面操作しかない範囲だけRPAにする。(4) 振替不能の後始末までを対象に含める。

費用は、依頼ファイルの変換と結果取込のような処理なら、当方の目安で30万円台からです。振替不能の振り分けや会計への反映まで含めると範囲次第で上がりますが、まず件数の多い1経路から始めれば小さく収まります。振替先が複数の銀行に分かれている場合は、収納代行会社に寄せて経路そのものを1本にする選択肢も、開発より先に検討する価値があります。

回収の計算です。先のシナリオでは月12時間近くが1時間40分になり、差は月約10時間。時給3,000円換算で年36万円です(10時間 × 3,000円 × 12か月)。消えるのは作業時間だけでなく、間違えられない入力を人が担う緊張と、そのためのWチェック体制そのものです。

RPAは「画面しか経路がないとき」の道具です。見積りを取るときは「ファイルやAPIで渡せる経路を先に探してほしい」と伝えると、壊れにくく安い提案が出てきます。

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いまの手順と、その作業にかかっている時間を伺えれば、自動化できるかどうかと、おおよその金額をその場でお伝えします。 資料を整えていただく必要はありません。

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この記事を書いた人

大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

経理・労務のバックオフィス業務を自動化するエンジニア。決済システムの運用現場で16名チームの定型業務を自動化。その後、勤怠・給与計算SaaSと記帳・確定申告支援SaaSを要件定義から運用まで担当。

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