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経理

入金消込を自動化する。例外だけが人の前に残る形のつくり方

月初、銀行の入金明細をダウンロードして、請求の一覧とExcelで突き合わせる。名義が請求先の社名と違う。複数の請求がまとめて振り込まれている。振込手数料が引かれて金額が合わない。1件ずつ判断しながら消し込んでいくと、半日が消えます。月250件の入金という想定で数えてみると、自動化後に人の前に残るのは例外の30件だけになります。その形に組むための設計と、SaaSで足りる範囲、費用の考え方を順に書きます。

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大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

消込が終わらないと、月次も督促も始まらない

入金消込は、それ自体が終わって初めて次が動く業務です。消込が締まらないと売掛金の残高が確定せず、月次決算が始まらない。未入金の取引先も確定しないので、督促もかけられない。

しかも判断が人に付きます。「この名義はあの会社の親会社」「この端数は手数料」。長くやっている担当者の頭の中にだけ対応表があり、その人が休むと消込が止まる。作業時間より、この属人化のほうが実は重い問題です。

取引先が増える局面ではさらに効きます。消込の時間は件数にほぼ比例して伸びるため、売上が伸びるほど月初の残業で吸収する構図になりがちです。

月250件の入金がある会社で起きていること

月250件の入金があり、1件の突合に1分かかるとします。250件 × 1分 = 250分で、月4時間強。名義違い・合算入金・手数料の差引といった例外が月30件あり、1件の調査に5分なら 30件 × 5分 = 150分。合わせて月6時間半あまりが消込に使われています。

銀行明細と請求データを機械で突き合わせ、一致したものは自動で消し込む仕組みにすると、人の前に残るのは一致しなかった例外30件だけです。例外だけが並ぶ一覧で1件2分で判断できれば 30件 × 2分 = 60分。月初の半日仕事が1時間になります。

判断した結果を学習させる設計なら、「この名義はこの取引先」という対応は翌月から自動で一致します。例外30件は立ち上げ時の水準で、運用が乗るにつれて減っていきます。

御社の数字は3つで置き直せます。月の入金件数、機械的に一致しない件数、いまの消込にかかっている時間。この式にそのまま入れてください。

作る側の視点。「明細 × 請求 → 例外だけ人」に組む

仕組みとしてやることは1つです。銀行の入金明細(API連携またはネットバンキングからのCSV)と、請求データ(販売管理システム、請求書SaaS、またはExcelの請求一覧)を機械で突き合わせ、一致したものは自動で消し込み、一致しなかったものだけを画面に出して人が判断する。判断した結果は学習させ、翌月から自動で一致するようにする。

つまり自動化の対象は「全件を見る」作業で、人の仕事は「例外を判断する」ことに変わります。ここを取り違えて全自動を目指すと、誤った消込がそのまま会計に流れます。

一致の条件は3段階で考えます。金額と名義がそのまま一致する。名義の対応表を通せば一致する。複数の請求の組み合わせで金額が一致する。下に行くほど判断の要素が増えるので、どこまでを自動と呼ぶかを最初に決めておきます。

消込SaaSの標準機能で足りるのは、名義のゆれの学習、合算入金の候補提示、消込結果の会計ソフト連携あたりです。請求データが対応する請求書SaaSや販売管理にあり、会計もクラウド会計なら、設定だけで前節の計算に近い形になります。個別開発が要るのはその前後で、請求データが自社独自の販売管理やExcelにしかない場合の変換、手数料や源泉徴収を差し引いて振り込む取引先ルールの前処理、会計ソフトが連携先にない場合の出口側の変換です。

件数が月に数十件なら、SaaSを入れずに突合の仕組みだけを作る選択肢もあります。明細と請求一覧を読み込んで突合し、例外だけを一覧に出す。この規模なら小さな開発で済みます。なお、請求書SaaSを既に使っている場合は、そのサービス自体に消込の機能が付いていることがあります。契約中のものの機能一覧を先に確認すると、二重投資を避けられます。

データの突合と例外の振り分けは、当方が決済システムの運用現場で日々作ってきた、この種の自動化の中心にある処理です。設計で決め手になるのは、自動で消える側より残る例外側の扱いです。例外だけが並ぶ一覧と、判断した結果が翌月に活きる学習。この2つを最初から要件に入れないと、結局全件を目で確認することになります。判断した理由を残す場所まで決めれば、担当が代わっても同じ判断ができ、属人化の解消はここで完成します。

まず数を数える。SaaSか小さな開発かはそれで決まる

最初にやるのは数を数えることです。月の入金件数、そのうち請求と機械的に一致しない件数、消込にかかっている時間。この3つで、消込SaaSの導入が合うか、小さな突合の仕組みで足りるかが決まります。

名義の対応表は導入した日には空です。最初の2〜3か月は例外が多く、そこで「手作業のほうが早い」と戻ってしまうのがよくある失敗です。立ち上げ期の例外件数をあらかじめ見込んでおいてください。

件数が多く例外のパターンが定型的なら、消込SaaS+前後の接続開発。請求データの変換のような接続部分の開発は、当方の目安で30万円台からです。件数が少なければ、突合の仕組み単体で10万円〜50万円の帯に収まります。

回収は時間と属人化の両方で見てください。前節のシナリオなら月6時間半あまりで、時給3,000円換算で年約24万円です(月400分 ≒ 6.7時間 × 3,000円 × 12か月)。担当者が変わっても消込が回る状態になることの価値は、この金額に含まれていません。消込が早く締まれば未入金の把握と督促も早くなり、回収までの日数にも効いてきます。

消込の自動化は「例外だけを人が見る」形に変えることです。全自動を要件にすると、危ないうえに高くつきます。

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いまの手順と、その作業にかかっている時間を伺えれば、自動化できるかどうかと、おおよその金額をその場でお伝えします。 資料を整えていただく必要はありません。

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この記事を書いた人

大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

経理・労務のバックオフィス業務を自動化するエンジニア。決済システムの運用現場で16名チームの定型業務を自動化。その後、勤怠・給与計算SaaSと記帳・確定申告支援SaaSを要件定義から運用まで担当。

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