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経理

入出金明細の会計ソフト取込を自動化する。CSVを置けば取り込まれる形にする

記帳代行の月初は、顧問先ごとにネットバンクの明細を落とし、日付や摘要の形を直して、会計ソフトに取り込む作業から始まります。1社あたり1時間でも、顧問先の数だけ繰り返せば月の大半がこれで埋まります。仕訳を考える前の、ただの運搬に近い作業です。記帳代行40社の想定で、まず10社分をなくすとどうなるかを計算し、口座連携で済む顧問先の分け方から、重複を防ぐ作り、費用の考え方まで書きます。

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大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

記帳の時間は、仕訳の前の「運搬」に使われている

入出金明細の取込でやっていることを分解すると、ネットバンクからCSVを落とす、銀行ごとに違う列や日付の形式を会計ソフトが読める形に直す、取り込む、の3つです。判断が要るのは勘定科目を付ける場面からで、そこまでの前処理には判断がありません。

それでも時間がかかるのは、銀行ごと・顧問先ごとに形式が違い、毎月同じ手直しを繰り返しているからです。紙の通帳やPDFの明細が混ざると、そもそもデータにするところから手作業になります。納期が決まっている記帳代行では、この前処理が残業の主因になりがちです。

もう1つ見えにくい負担があります。やり方が銀行ごと・顧問先ごとの「覚え」になっていて、担当者が休むと他の人が引き継げないことです。作業時間と属人化が、同じ場所で同時に積み上がっていきます。

40社×1時間の前処理を、まず10社分なくす

記帳代行の顧問先が40社あるとします。1社あたり、明細のダウンロード・整形・取込で月1時間とすると、40社×1時間で月40時間。1人の月の勤務時間の4分の1が、仕訳の前の運搬で埋まっている計算です。

自動化は一気にやりません。同じネットバンクのCSV形式を使う顧問先が10社あるとして、まずこの形式の変換・取込・重複排除だけを自動にします。人の作業は、CSVを落として所定のフォルダに置くことと、取込後に会計ソフトの残高と通帳の残高を照合することだけになり、1社あたり10分。10社×10分で100分です。この10社分は月10時間が約1時間40分になり、差は月8時間強、年間およそ100時間。時給3,000円なら年間約30万円が、1形式目だけで出る計算です。

2形式目からは、同じ仕組みに銀行の形式を1つ足すだけなので、追加の費用は小さくなります。数字を御社の「前処理の時間×顧問先数」に入れ替えれば、そのまま御社の削減見込みです。

仕組みの中身: まず口座連携で済む顧問先を分ける

作る側から見ると、最初にやるのは開発でなく仕分けです。freeeやマネーフォワード クラウドには銀行口座の自動連携機能があり、対応している銀行なら明細は自動で入ってきます。顧問先を「口座連携で済む」「CSVを落とせば取れる」「紙・PDFしかない」の3グループに分けると、開発が要るのは後ろの2つだけです。

この仕分けは、そのまま顧問先への提案材料にもなります。口座連携に対応した銀行を使っているのに、連携を設定していないだけの顧問先は珍しくありません。設定だけで片付く社を先に片付けると、開発の対象はさらに絞れます。

CSVのグループは、銀行ごとの形式を会計ソフトの取込形式に変換する仕組みを作ります。銀行の形式は種類が限られているので、1つ作れば同じ銀行を使う顧問先すべてに効きます。紙・PDFのグループは、AI-OCRでCSV化してから同じ変換に乗せます。当方はレシート画像のAI-OCR解析と勘定科目の自動仕分けを記帳・確定申告支援SaaSで実装しており、読み取りの精度をどこまで信じて、どこから人が見るかの線引きが、この部分の設計のほぼすべてです。

つまずくのは、重複と「摘要の揺れ」

この自動化で事故になりやすい点は2つあります。

1つ目は明細の重複です。同じ期間のCSVを2回取り込むと、同じ入出金が二重に記帳されます。取込済みの期間を記録し、重なる明細は弾く仕組みを最初から入れておきます。手作業なら人が気づく重複も、自動化すると誰も見ていないまま通ってしまうからです。照合は日付・金額・摘要の組み合わせで行い、あわせて、月の取込が終わったら会計ソフト側の残高と通帳の残高を突き合わせる確認を残します。残高が合っていれば、抜けも重複もないことをまとめて確かめられます。

2つ目は摘要の揺れです。同じ取引先でも「カ)〇〇」「〇〇(株」のように表記が揺れ、科目の自動判定を狂わせます。ここで完璧を目指さないのが割り切りどころです。よく出る取引だけ変換ルールを持たせ、判定に自信のない明細は科目を空欄のまま人に回す。9割が自動で通れば、前処理としては十分に成立します。

市販RPAと個別開発の使い分け

選ぶときの分かれ目は、画面操作が必要かどうかです。

ネットバンクへのログインと明細ダウンロードまで自動にしたいなら、画面操作の自動化が要ります。市販RPAか、ブラウザ操作を自動化する個別開発の出番です。ただしネットバンクはセキュリティの仕様変更が多く、画面操作は止まりやすい場所です。ダウンロードは人が月1回やり、置いたあとの変換と取込だけを自動にする構成なら、壊れにくく費用も小さくなります。まずこちらから始めて、ダウンロードの自動化は件数が増えてから検討する順番を勧めます。

いちばん多く使われている銀行の1形式から

顧問先を先ほどの3グループに分けたら、CSVグループの中でいちばん多く使われている銀行の形式を1つ選びます。変換と取込、重複の排除までで30万円台から作れます。AI-OCRを含む紙・PDF対応は、その次の段階です。

回収の計算は先のシナリオのとおりです。同じ銀行の顧問先が10社、1社あたり月1時間なら月10時間。自動化後は1社10分で月約1時間40分になり、差は月8時間強、時給3,000円で年間約30万円です。30万円台なら1年強で戻り、月初の納期前の残業がまず減ります。最初の1形式で効果を確かめてから、2つ目の銀行、紙・PDFへと広げてください。

規模が違っても判断の式は同じです。前処理の時間×顧問先数×12か月が、いま失っている時間です。まずその数字を出してから、見積りの金額と並べて判断してください。

ご相談ください

いまの手順と、その作業にかかっている時間を伺えれば、自動化できるかどうかと、おおよその金額をその場でお伝えします。 資料を整えていただく必要はありません。

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この記事を書いた人

大城滉希

バックオフィス自動化エンジニア

経理・労務のバックオフィス業務を自動化するエンジニア。決済システムの運用現場で16名チームの定型業務を自動化。その後、勤怠・給与計算SaaSと記帳・確定申告支援SaaSを要件定義から運用まで担当。

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